こんにちは、今日は東南アジアで急成長中のスーパーアプリ「Grab(グラブ)」について、私が過去1ヶ月にわたり100時間以上かけて調査した結果を、余すことなくお伝えしたいと思います。結論から言うと、Grabは今後数年間で大きな成長を遂げる可能性を秘めた、非常に魅力的な投資対象だと考えています。
Grabとは?:東南アジア版Uber+PayPal+Shopify+Doordash
Grabを一言で表すなら、**「東南アジアのスーパーアプリ」**です。配車サービスのUber、決済サービスのPayPal、ECプラットフォームのShopify、フードデリバリーのDoordash、これら全てを一つのアプリに集約したようなサービスを想像してみてください。アメリカではまだ馴染みの薄いスーパーアプリですが、世界的に見れば、日常生活のあらゆるニーズを一つのアプリで満たせる利便性は高く評価されており、中国のWeChatはその代表例と言えるでしょう。
Grabはナスダックに上場しており、本社はシンガポールにあります。厳選された投資家(Uber、Brad Gerstner、Morgan Stanleyなど)と優秀な経営陣により、財務の透明性も高く、安心して投資できる企業です。
なぜ今、Grabに注目すべきなのか?:6つの理由
私がGrabに注目する理由は、主に以下の6つです。
- 現金の豊富さ: 時価総額の30%が現金で、1株あたり1.35ドルが現金に相当します。これは非常に安全な投資先であることを意味します。
- 高い成長性: 収益成長率は17%(為替変動の影響を除くと20%)、月間取引ユーザー数(MTU)は前年同期比16%増の4,200万人と、驚異的な成長を遂げています。
- 収益性の改善: 5四半期連続で調整後EBITDAがプラス、3四半期連続でフリーキャッシュフローがプラス、直近の四半期でGAAPベースの黒字化を達成し、収益性も着実に改善しています。
- チャートの可能性: 3年間の調整局面を終え、ブレイクアウトの可能性を秘めたチャート形状となっています。
- 魅力的な市場: 東南アジアは、今後10年間で力強く成長する魅力的な新興市場です。
- 単なる配車アプリではない: 当初は「東南アジアのUber」と紹介されることが多かったGrabですが、その実態は、人々の生活のあらゆる側面に関わる「スーパーアプリ」へと進化を遂げています。
Grabの長期ビジョン:東南アジアの生活インフラへ
Grabの創業は、夜間のタクシー利用の安全性を確保したいという想いから始まりました。その後、東南アジアの巨大な市場規模に着目し、事業を拡大。数十億ドルを調達し、SPACを通じて上場を果たしました。
東南アジアは、約7億人の人口を抱え、スマートフォンの普及率は2030年までに85%に達すると予想されています。GDP成長率も高く(上位6カ国の平均は5.1%)、経済成長とともに、人々の生活はより豊かに、そしてデジタル化されていくでしょう。
Grabは、この巨大な成長市場において、人々の生活に欠かせないインフラとなることを目指しています。 交通手段、食事、買い物、金融サービスなど、あらゆるニーズをGrabアプリ一つで満たせる世界を実現しようとしているのです。
Grabの主要事業:全てが成長軌道に
Grabの主要事業は、デリバリー、モビリティ、金融サービスの3つです。
- デリバリー: GMV(流通取引総額)は12%増加、収益は13%増加
- モビリティ: GMVは20%増加、収益は17%増加
- 金融サービス: ローンポートフォリオは81%増加、収益は34%増加
特筆すべきは、調整後EBITDAがこれらのカテゴリー全体で平均35%増加していることです。これは、Grabのビジネスモデルが非常に効率的であることを示しています。
特に注目すべきは金融サービスの成長です。銀行口座を持たない人が多い東南アジアにおいて、Grabは、日々の生活で利用するアプリを通じて金融サービスを提供することで、多くの人々に金融アクセスを提供しています。実際、Grabの金融サービスにおける預金は、前四半期比で50%、前年同期比で300%増加しており、驚異的な成長を遂げています。
この成長の原動力は、Grabの強力なエコシステムです。スーパーアプリとして、新製品を導入し、ネットワーク効果を活用してユーザーを増やし、新しいサービスをアップセルすることが容易にできるのです。
信頼できる経営陣:創業者Anthony Tanの覚悟
Grabの経営陣は非常に優秀です。CEOのAnthony Tan、CFOのPeter Oey、COOのAlex Hungateは、業界経験豊富で、実績も申し分ありません。彼らは、アナリストの質問にも詳細かつ誠実に答え、将来の成長予測についても正直に語る、信頼できる経営陣です。
特に、創業者のAnthony Tanは、Grabに専念するために父親との関係を断ち切り、家業を継ぎませんでした。このエピソードは、彼のGrabにかける並々ならぬ情熱と覚悟を物語っています。
広告事業:ネットワーク効果が生み出す新たな収益源
広告事業は、まだ事業全体の大きな部分を占めていませんが、順調に成長しており、2024年には約2億ドルの収益に貢献する見込みです。
Grabの広告事業の強みは、ネットワーク効果です。例えば、インドネシアのあるハンバーガーチェーンのオーナーは、デリバリーと店内飲食の両方の広告を全てGrabを通じて行い、大きな成功を収めています。さらに、彼はGrabのプラットフォームを通じて融資を受け、事業拡大に繋げています。
このように、Grabの広告は、融資やデリバリーといった他の事業と連動することで、相乗効果を生み出しています。これは、Grabのエコシステムが非常に強力であることの証です。
Uberとの競争:Grabの勝利と協業
Uberは2018年に東南アジア市場への進出を試みましたが、Grabの強力なネットワーク効果に阻まれ、失敗に終わりました。この出来事は、Grabのブランドロイヤルティ、ブランド浸透率、全体的なブランド親和性が非常に高いことを示しています。
最終的に、UberはGrabの株式を取得し、Grabの成長を支援する道を選びました。現在、UberのCEOはGrabの取締役を務めており、Grabの成長戦略に貢献しています。
大株主:名だたる企業がGrabの成長を後押し
Grabには、Morgan Stanley、Uber、Perpetual Asset Management、Altimeter、SoftBankなど、名だたる企業が株主として名を連ねています。これらの企業がGrabの成長を後押ししていることは言うまでもありません。
投資リスク:為替変動、インセンティブ、競争
Grabへの投資には、もちろんリスクも存在します。
- 為替変動リスク: Grabは国際企業であるため、為替変動の影響を受けます。米ドル高が続けば、Grabの業績に悪影響を与える可能性があります。
- インセンティブ依存リスク: GMVに対するインセンティブの割合が低下しない場合、利益率を損ない、長期的なフリーキャッシュフローの成長を阻害する可能性があります。
- 競争リスク: ユーザーが他の製品を選択し、Grabのエコシステムへの定着率が低下した場合、競合他社がスーパーアプリ戦略に亀裂を生じさせる可能性があります。
特に、東南アジア地域の人々からは、価格競争力を理由に、競合製品を利用する声も聞かれます。しかし、MTUが前年同期比16%増加していること、従業員の30%を研究開発に充てていること、そしてGMVに対するインセンティブの割合が実際に低下していることから、現時点では競争は大きな懸念材料ではないと考えています。
積極的なM&A:さらなる成長への布石
Grabは、今後数年間で小規模な競合他社を買収していくと予想されます。実際、先月にはカンボジアのフードデリバリー企業「Nham24」を買収しました。これは、Grabが戦略的なM&Aを実行し、東南アジアのさまざまな地域で市場シェアを獲得し、トップラインを成長させる能力があることを示しています。
目標株価:2027年までに10ドル
私は、Grabの目標株価を2027年までに10ドルと設定しています。これは、現在の株価の2倍以上に相当します。
この目標株価は、以下の前提条件に基づいています。
- 今後2年間でEBITDA成長率65%
- EV/EBITDA倍率40倍(UberとDoordashもこの倍率)
- 2026年末までに現金を60億ドルから80億ドルに増加
この目標株価は、決して簡単に達成できるものではありません。しかし、Grabの強力なビジネスモデル、成長市場、優秀な経営陣、そして豊富な現金を考慮すれば、十分に達成可能な目標だと考えています。
まとめ:Grabは長期投資に最適な銘柄
Grabは、東南アジアの巨大な成長市場において、人々の生活に欠かせないインフラとなる可能性を秘めた、非常に魅力的な企業です。収益性も着実に改善しており、強力なネットワーク効果と優秀な経営陣により、今後も持続的な成長が期待できます。
もちろん、投資にはリスクも伴います。しかし、Grabは長期的な視点で見れば、非常に有望な投資先だと私は確信しています。
この記事が、皆さんの投資判断の一助となれば幸いです。
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