NVIDIA 2025年第3四半期決算ハイライト
財務ハイライト
- 売上高は過去最高の351億ドルを記録、前四半期比17%増、前年同期比94%増。
- データセンター事業の売上高は過去最高の308億ドルを記録、前四半期比17%増、前年同期比112%増。
- データセンター事業の売上高の内訳は、コンピュートが276億4400万ドル、ネットワーキングが31億2700万ドル。
- 希薄化後1株当たり利益はGAAPベースで0.78ドル、非GAAPベースで0.81ドル。
- フリーキャッシュフローは167億8700万ドル。
事業ハイライト
- データセンター事業
- Hopper H200を搭載したインスタンスが、AWS、CoreWeave、Microsoft Azureで利用可能に。Google CloudとOracle Cloud Infrastructureでも近日中に提供予定。
- デンマーク最大の政府系AIスーパーコンピューターを構築。1,528基のNVIDIA H100 Tensor Core GPUを搭載し、NVIDIA Quantum-2 InfiniBandネットワークで相互接続。
- 通信事業者向けにNVIDIA AI Aerialプラットフォームを発表。T-Mobile、Ericsson、Nokiaと連携し、AI-RANの商用化を加速。
- ソフトバンクが、NVIDIA Blackwellプラットフォームを搭載した日本最強のAIスーパーコンピューターを構築。NVIDIA AI Aerialを活用した、世界初のAIと5G通信ネットワークの統合パイロット運用に成功。
- xAIのColossusスーパーコンピュータークラスターを加速。100,000基のNVIDIA Hopper GPUとNVIDIA Spectrum-X™イーサネットネットワークプラットフォームを使用。
- Foxconnと提携し、NVIDIA Blackwellを搭載した台湾最速のAIスーパーコンピューターを構築。
- ゲーミング&AI PC事業
- GeForce® 256の25周年を記念。
- Gamescomで、ゲーム内キャラクターの応答を改善するMinitron 4Bモデルを搭載したNVIDIA ACEとデジタルヒューマン技術をMecha BREAKでデモ。
- Indiana Jones and the Great CircleやDragon Age: The Veilguardなど、20のGeForce RTXおよびDLSS対応タイトルを発表。
- ASUSとMSIから、毎秒321兆回のAI演算性能を持つ新しいRTX AI PCを出荷開始。Microsoft Copilot+機能は次四半期に提供予定。
- プロフェッショナルビジュアライゼーション事業
- Foxconnが、NVIDIA Omniverse™上に構築されたデジタルツインと産業用AIを使用して、NVIDIA GB200 Grace Blackwell Superchipsを製造する3つの工場を迅速に稼働。
- RelianceやOla Motorsなどのインドの大手産業メーカー、Toyota、Yaskawa、Seven and I Holdingsなどの日本の大手産業メーカーが、NVIDIA AIとOmniverseを使用してワークフローを自動化し、運用効率を向上。
- ライブメディアとビデオパイプラインをAIと同じインフラストラクチャ上で実行できるようにする、AI対応のソフトウェア定義プラットフォーム、NVIDIA Holoscan for Mediaを発表。
- 自動車&ロボティクス事業
- Volvoが、NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングを搭載した新しい電気SUVを発売。
- ロボット学習とヒューマノイド開発のためのProject GR00T AIおよびシミュレーションツール、ロボット開発者向けの新しい生成的AIツールと認識ワークフローを発表。
- ToyotaやOla Motorsなどの日本とインドの企業が、NVIDIA Isaac™とOmniverseを使用して、次世代の物理AIを構築。
役員コメント分析
- ジェンスン・フアンCEOは、「AIの時代は本格化しており、NVIDIAコンピューティングへの世界的な移行を推進している」と述べています。
- また、フアンCEOは、基盤モデルメーカーが事前学習、事後学習、推論を拡大するにつれて、Hopperへの需要とBlackwellへの期待は非常に高いと述べています。
- コレット・クレスCFOは、ネットワーキングの需要は強く、成長しており、Blackwellの出荷は第4四半期に開始予定だが、供給制約により、2026年度のBlackwellの需要は供給を上回ると予想されると述べています。
今後のガイダンス
- 2025年度第4四半期の売上高は375億ドル±2%と予想。
- GAAPおよび非GAAPベースの売上総利益率はそれぞれ73.0%±50ベーシスポイント、73.5%±50ベーシスポイントと予想。
- GAAPおよび非GAAPベースの営業費用はそれぞれ約48億ドル、約34億ドルと予想。
- Blackwellシステムの出荷は2025年度第4四半期に開始予定。
- HopperとBlackwellシステムの供給は制約されており、2026年度のBlackwellの需要は供給を上回ると予想。
成長要因分析
- AIの需要の高まりが、データセンター事業の記録的な売上高を牽引。
- Hopperアーキテクチャへの強い需要。
- 大規模言語モデル、レコメンデーションエンジン、生成的AIアプリケーションのトレーニングと推論におけるHopperコンピューティングプラットフォームの採用拡大。
- AI向けイーサネットの成長、特にSpectrum-Xエンドツーエンドイーサネットプラットフォーム。
- クラウドサービスプロバイダーからの需要の増加。
感想
NVIDIAの第3四半期決算は、まさに「AIの時代」の到来を象徴するような内容でした。売上高は前年同期比で2倍近くに達し、純利益も2倍以上を記録しています。この驚異的な成長を牽引しているのは、データセンター事業におけるAI関連製品の需要の高まりです。
特に、大規模言語モデルのトレーニングや推論に用いられるHopperアーキテクチャへの需要は非常に強く、NVIDIAのAI分野における優位性を改めて証明する結果となりました。
今後の成長を占う上で重要なのが、**次世代AIチップ「Blackwell」**の存在です。Blackwellは、NVIDIAのJensen Huang CEOが「業界のゲームチェンジャー」と呼ぶほど、AI処理能力において飛躍的な進化を遂げているとされています。
第3四半期決算発表でも、Blackwellへの期待の高さが伺えました。アナリストからの質問も多く、Blackwellの供給状況や今後の需要に関する情報提供が積極的に行われています。
Blackwellは2025年度第4四半期に出荷開始予定ですが、供給が需要に追いつかない状況が2026年度も続くと予想されています。これは、Blackwellを搭載した製品への需要が非常に高いことを示唆しており、NVIDIAの更なる成長を期待させる材料と言えるでしょう。
しかし、供給制約はNVIDIAにとって大きな課題でもあります。Blackwellの供給が遅れれば、競合他社に市場シェアを奪われる可能性も否定できません。NVIDIAは、生産能力の増強やサプライチェーンの強化など、供給問題の解決に全力を挙げる必要があるでしょう。
また、世界経済の減速や地政学リスクなど、マクロ経済環境の悪化も懸念材料です。これらの要因がNVIDIAの業績に影響を与える可能性も考慮しておく必要があります。
結論として、NVIDIAはAI需要の高まりという追い風を受け、今後も力強い成長を続けることが予想されます。Blackwellの成功は、NVIDIAの将来を大きく左右する重要な要素となるでしょう。しかし、供給制約やマクロ経済環境の悪化といったリスクにも注意を払う必要があります。
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